胃ポリープ
胃ポリープは癌になる?原因・症状・治療を消化器専門医が詳しく説明
胃の検査で「ポリープが見つかりました」と言われると、多くの方が気がかりになるのではないでしょうか。胃ポリープとは、胃の内側の壁(粘膜)から盛り上がったイボのような突起物のことです。
健康診断や人間ドックの胃カメラ検査で発見されることが多く、日本人の約10~20%の方に見つかると言われています。しかし、胃ポリープがすべて危険というわけではありません。
今回は、胃ポリープの種類や原因、症状、治療法について詳しく解説いたします。
胃ポリープの種類と原因|良性と悪性の見分け方
胃ポリープには、大きく分けて3つの種類があります。それぞれ原因や特徴が異なるため、正確な診断が重要になります。
胃底腺ポリープ(いていせんポリープ)
最も多く見られるタイプで、胃ポリープ全体の約70~80%を占めます。胃の上部(胃底部)にできる小さなポリープで、通常は数ミリ程度の大きさです。
胃酸の分泌を抑える薬(プロトンポンプ阻害薬)を長期間服用している方や、ピロリ菌に感染していない方に多く見られます。良性のポリープなので、癌になる心配はほとんどありません。
過形成性ポリープ(かけいせいせいポリープ)
胃の慢性的な炎症が原因で起こるポリープです。ピロリ菌感染による慢性胃炎がある方に多く見られます。
大きさは様々で、数ミリから数センチメートルまで幅があります。多くは良性ですが、大きなものや長期間存在するものは、まれに癌化する可能性があります。
腺腫(せんしゅ)
胃ポリープの中でも最も注意が必要なタイプです。腺腫は前癌病変(癌になる前の段階)と考えられており、放置すると胃癌に進行する可能性があります。
全体の10%程度と頻度は低いですが、発見された場合は積極的な治療が必要になります。大きさが2センチメートルを超えるものは、特に癌化のリスクが高くなります。
胃ポリープの症状と診断方法|内視鏡検査の重要性
胃ポリープの多くは無症状で、健康診断の胃カメラ検査で偶然発見されることがほとんどです。しかし、ポリープが大きくなったり、数が増えたりすると症状が現れることがあります。
主な症状
小さなポリープでは症状は出ませんが、大きなポリープでは以下のような症状が現れることがあります。
上腹部の不快感や痛み、食後の膨満感、吐き気などが代表的な症状です。また、ポリープから出血した場合は、便が黒っぽくなったり、貧血の症状が現れたりすることもあります。
特に過形成性ポリープや腺腫では、表面がただれて出血しやすくなることがあります。このような症状がある場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。
診断方法
胃ポリープの診断には、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)が最も重要です。内視鏡検査では、ポリープの大きさ、形、色調、表面の状態などを詳しく観察できます。
必要に応じて、ポリープの一部を採取して顕微鏡で調べる生検(せいけん)も行います。生検により、ポリープの種類を正確に診断し、癌細胞の有無を確認できます。
また、造影剤を使ったバリウム検査でもポリープを発見できますが、詳細な診断には内視鏡検査が必要になります。最近では、内視鏡に特殊な光を当てて観察する画像強調内視鏡(NBI)なども使用され、より正確な診断が可能になっています。
胃ポリープの治療法と予防|手術が必要な場合とは
胃ポリープの治療方針は、ポリープの種類、大きさ、数、患者さんの年齢や全身状態などを総合的に考慮して決定されます。
経過観察
胃底腺ポリープのような良性のポリープで、大きさが小さく症状がない場合は、定期的な内視鏡検査による経過観察を行います。
通常は年に1回程度の検査で、ポリープの大きさや数に変化がないかを確認します。急激に大きくなったり、形が変わったりした場合は、追加の検査や治療を検討します。
内視鏡的切除
以下の場合には、内視鏡を使ってポリープを切除します。
腺腫や大きな過形成性ポリープ(通常2センチメートル以上)、出血を繰り返すポリープ、急速に大きくなるポリープなどが対象になります。
内視鏡的粘膜切除術(EMR)や内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)といった方法があります。これらは体への負担が少なく、入院期間も短くて済む治療法です。
外科手術
内視鏡での切除が困難な大きなポリープや、癌化が疑われる場合は、外科手術による胃の部分切除が検討されます。
ただし、良性のポリープで外科手術が必要になることは稀で、多くの場合は内視鏡治療で対応可能です。
予防と生活習慣
胃ポリープの予防には、胃の健康を保つことが重要です。
ピロリ菌感染がある場合は、除菌治療を受けることで過形成性ポリープの発生を抑えることができます。また、規則正しい食生活、禁煙、適度な飲酒を心がけることも大切です。
特に、塩分の多い食品や刺激の強い食品を控え、野菜や果物を多く摂取することで、胃の炎症を抑制できます。
定期的な健康診断を受けて、早期発見・早期治療に努めることが最も重要な予防策と言えるでしょう。胃カメラ検査は40歳を過ぎたら1~2年に1回、ピロリ菌感染歴がある方や家族歴のある方は年に1回の検査をお勧めします。
まとめ
胃ポリープは決して珍しい病気ではありませんが、種類によって対処法が大きく異なります。多くは良性で経過観察で十分ですが、腺腫のように癌化の可能性があるものは積極的な治療が必要です。
大切なのは、定期的な検査を受けて早期発見に努めることです。症状がなくても、40歳を過ぎたら1~2年に1回は内視鏡検査を受けることをお勧めします。
何か気になることがありましたら、当院にご相談ください。適切な診断と治療により、胃ポリープは十分にコントロール可能な病気です。
