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胃潰瘍・十二指腸潰瘍

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の症状と治療法|原因から予防まで

胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、多くの人が経験する可能性のある消化器疾患です。みぞおちの痛みや胸やけなどの症状に悩まされている方も少なくありません。

これらの病気は適切な治療により完治が期待できる疾患ですが、放置するとひどい合併症を引き起こす恐れもあります。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の基本知識と症状の特徴

胃潰瘍とは、胃の内側を覆っている粘膜(ねんまく)に深い傷ができる病気です。一方、十二指腸潰瘍は、胃の出口から続く十二指腸という部分に同様の傷ができる状態を指します。

どちらも消化性潰瘍(しょうかせいかいよう)と呼ばれ、胃酸の影響で粘膜が傷つくことで発症します。胃酸とは、食べ物を消化するために胃から分泌される強い酸性の液体のことです。

主な症状について

胃潰瘍の代表的な症状は、食事中や食後に起こるみぞおちの痛みです。この痛みは重苦しい感じや焼けるような感覚として現れることが多く、背中に響く場合もあります。

十二指腸潰瘍の場合は、空腹時や夜間に痛みが強くなる傾向があります。食事をとると一時的に痛みが和らぐのが特徴的です。これは食べ物が胃酸を中和するためと考えられています。

両者に共通する症状として、胸やけ、吐き気、食欲不振、体重減少などがあります。重症化すると、黒いタール状の便(これを下血と呼びます)や血を吐く症状が現れることもあります。

症状の違いを理解する

胃潰瘍と十二指腸潰瘍は症状の現れ方に違いがあります。胃潰瘍では食事と痛みの関係がはっきりしないことも多く、慢性的な不快感が続くケースが見られます。

十二指腸潰瘍は比較的若い世代に多く、40歳以下の男性に好発します。一方、胃潰瘍は中高年に多い傾向があり、特に50歳以降の発症率が高くなります。

症状の程度は個人差が大きく、軽い胃もたれ程度の症状しか感じない方もいれば、激しい痛みに苦しむ方もいます。そのため、軽い症状でも長期間続く場合は医療機関での検査をお勧めします。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因と発症メカニズム

従来、胃潰瘍や十二指腸潰瘍はストレスや食生活の乱れが主な原因とされていました。しかし、1980年代以降の研究により、ヘリコバクター・ピロリ菌という細菌が大きな原因であることが判明しました。

ヘリコバクター・ピロリ菌について

ヘリコバクター・ピロリ菌は胃の中に住み着く細菌で、世界人口の約半数が感染していると推定されています。日本では特に50歳以上の感染率が高く、約7割の方が感染しているとされます。

この細菌は胃の粘膜に炎症を起こし、胃酸から粘膜を守るバリア機能を低下させます。その結果、胃酸によって粘膜が傷つきやすくなり、潰瘍が形成されるのです。

ピロリ菌感染は主に幼少期に起こり、家族内感染や汚染された水を通じて感染することが多いとされています。一度感染すると、治療を行わない限り生涯にわたって胃の中に存在し続けます。

薬剤性潰瘍の増加

近年、痛み止めや解熱剤として広く使用されているNSAIDs(エヌセイズ:非ステロイド性抗炎症薬)による潰瘍が増加しています。代表的な薬剤には、アスピリン、イブプロフェン、ロキソプロフェンなどがあります。

これらの薬剤は胃の粘膜を保護する物質の産生を抑制するため、長期間服用すると潰瘍のリスクが高まります。特に高齢者や心疾患の治療でアスピリンを継続服用している方は注意が必要です。

薬剤性潰瘍の予防には、胃酸の分泌を抑える薬剤を併用することが効果的です。NSAIDsを長期服用する必要がある場合は、必ず医師と相談して適切な予防策を講じることが重要です。

その他の危険因子

ストレスも潰瘍の発症に関与します。精神的ストレスや身体的ストレス(手術、重篤な疾患など)は胃酸の分泌を増加させ、粘膜の血流を悪化させるため、潰瘍のリスクを高めます。

喫煙は潰瘍の治癒を遅延させ、再発率を高めることが知られています。ニコチンは胃の血流を悪化させ、粘膜の修復機能を低下させるためです。禁煙は潰瘍治療の重要な要素の一つです。

アルコールの過度な摂取も胃粘膜を刺激し、潰瘍のリスクを高めます。適量であれば問題ありませんが、連日の大量飲酒は避けるべきです。

効果的な治療法と予防・再発防止策

ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌治療

ピロリ菌感染が確認された場合、除菌治療が第一選択となります。除菌治療では、2種類の抗生物質と胃酸を抑える薬剤を1週間服用します。この治療により約90%の方で除菌が成功します。

除菌が成功すると、潰瘍の再発率は劇的に低下します。十二指腸潰瘍では再発率が95%から5%以下に、胃潰瘍でも大幅に再発率が減少することが報告されています。

除菌治療中は下痢や軟便、味覚異常などの副作用が現れることがありますが、多くは軽微で治療終了とともに改善します。除菌の成功確認は治療終了から2か月以上経過してから行います。

薬物療法による治療

潰瘍の治療には、胃酸の分泌を強力に抑制するプロトンポンプ阻害薬(PPI)が用いられます。これらの薬剤により胃酸の分泌が抑制されると、潰瘍の治癒が促進されます。

治療期間は潰瘍の大きさや深さによって異なりますが、十二指腸潰瘍では4-6週間、胃潰瘍では6-8週間の服薬が一般的です。治癒の確認は内視鏡検査によって行われます。

薬剤性潰瘍の場合は、原因となる薬剤の中止または変更が検討されます。しかし、心疾患の治療薬など中止困難な場合は、胃酸抑制薬を併用して潰瘍の予防を図ります。

生活習慣の改善と予防策

治療と並行して生活習慣の改善を行うことで、治癒の促進と再発予防が期待できます。規則正しい食事を心がけ、暴飲暴食を避けることが基本です。

刺激の強い食べ物(香辛料、柑橘類、コーヒーなど)は症状を悪化させる可能性があるため、症状が強い期間は控えめにすることをお勧めします。

十分な睡眠とストレス管理も重要な要素です。適度な運動はストレス解消に効果的で、胃腸の血流改善にも寄与します。ただし、症状が強い急性期は安静を保つことが大切です。

定期的な経過観察の重要性

潰瘍が治癒した後も、定期的な経過観察が必要です。特に胃潰瘍の場合は、悪性腫瘍(胃がん)との鑑別が重要なため、内視鏡による経過観察が推奨されます。

ピロリ菌除菌後も年1回程度の胃がん検診を受けることが望ましいとされています。除菌により胃がんのリスクは大幅に減少しますが、完全にゼロになるわけではないためです。

症状の再燃や新たな症状が出現した場合は、早期に医療機関を受診することが重要です。早期発見・早期治療により、重篤な合併症を予防できます。

まとめ

胃潰瘍・十二指腸潰瘍は現代医学により治癒可能な疾患となりました。ヘリコバクター・ピロリ菌の発見により治療法が確立され、多くの患者さんが根治を期待できるようになっています。

症状に思い当たる点がある方は、受診されることをお勧めします。適切な診断と治療により、痛みから解放され、快適な日常生活を取り戻すことができるはずです。

また、日頃からの生活習慣の改善と定期的な健康チェックにより、これらの疾患を予防することも可能です。皆様の健康的な生活の一助となれば幸いです。

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