感染性胃腸炎
Q.
どんな病気?
A.
感染性胃腸炎は、ウイルスや細菌、寄生虫などの病原体によって引き起こされる消化管の炎症性疾患で、下痢、嘔吐、腹痛、発熱などの症状を呈します。
病原体や感染経路によって以下のように分類されます。
【病原体による分類】
・ウイルス性:最も多くを占めます。ロタウイルス、ノロウイルス、アデノウイルスなどが原因となります。
・細菌性:カンピロバクター、サルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、エルシニア、ビブリオなどが原因となります。
・寄生虫性:ジアルジア、クリプトスポリジウムなどが原因となります。
【感染経路による分類】
・経口感染:汚染された食物や水の摂取により発症します。
・接触感染:患者の便や嘔吐物との接触により発症します。
Q.
どんな症状が出るの?
A.
下痢、吐き気・嘔吐、腹痛が急激に起こります。発熱を伴う場合もあります。また、嘔吐・下痢・発熱により脱水に陥ったり、倦怠感が生じたりします。小さなお子様や高齢者の方は、脱水により全身状態が増悪しやすいので、特に注意が必要です。
Q.
どうなったら診断されるの?
A.
多くの場合、病歴や症状から診断されます。特にウイルス性胃腸炎では、流行時期や症状の特徴から診断が行われます。
また、以下の検査が有用なことがあります。
・便検査:便培養や抗原検査、PCR法などが行われます。
・血液検査:脱水や炎症の程度を評価するために行われます。
・画像検査:腹部超音波検査などが補助的に用いられます。
Q.
どんな治療があるの?
A.
基本的に日にち薬で治癒しますので、それまでの対症療法(症状を抑える治療)が主な治療となります。おおむね全治1週間前後で治癒します。
①対症療法
・経口補水療法(ORT):軽度から中等度の脱水に対して推奨されます。
・静脈内補液:重度の脱水や経口摂取が困難な場合に行われます。
・整腸薬:症状の改善を目的に使用されることがあります。
・制吐薬:症状に応じて使用されます。
②抗菌薬療法
多くの感染性胃腸炎は自然軽快するため、抗菌薬の使用は限定的です。以下のような場合に検討されます。
・重症例:高熱、血便、強い腹痛などを伴う場合
・免疫不全状態:免疫抑制療法中や免疫の低下する基礎疾患を有する場合
・特定の病原体:腸チフスやパラチフス、コレラなど、特定の細菌感染が疑われる場合
なお、水を飲むだけで嘔吐・下痢する場合は、点滴を要することが多いですので、早めにお越しください。水⇒経口補水液⇒消化の良い食事といったふうに、徐々に食事形態を上げていくのが一般的です。