脳卒中(脳出血・脳梗塞)
Q.
どんな病気?
A.
脳卒中は脳への血流が途絶え、脳細胞が死滅することで発症する病気です。脳卒中には、血流障害によるもの(脳梗塞)と出血によるもの(脳出血)があります。脳卒中は、日本における死亡および身体障害の主な原因となっています。
日本の脳卒中ガイドラインでは下記のように分類しています。
①脳梗塞(約80%)
・アテローム血栓性梗塞
・心原性梗塞
・ラクナ梗塞
②出血性脳卒中
・脳内出血
・くも膜下出血
③一過性脳虚血発作(TIA)
④無症候性脳血管障害
Q.
どんな症状が出るの?
A.
脳卒中は突然起こり、症状はすぐに現れます。脳卒中の症状を早期に発見することが、生命と脳の機能を守るために非常に重要です。
- 突然の脱力感やしびれ
特に体の片側(顔、腕、脚)のしびれ、顔が下に垂れる、両腕があがりにくい、足を引きずる、など。
- 突然の発話障害または理解障害
ろれつが回らない、話し方がはっきりしない、言葉が見つからない、相手の話を理解できない、など。
- 突然の視力障害
視界がぼやける、ものが二重に見える、片目または両目が見えない、など。
- 突然のめまいまたは平衡感覚の喪失
ふらふらして真っ直ぐ歩けない、ふらつく、こける、など。
- 突然の激しい頭痛
これまで経験したことないような激しい頭痛、嘔吐や意識消失を伴う頭痛、など
なお、症状がすぐに消えても、一過性脳虚血発作(TIA)という病気の可能性があり、放っておくと結局脳梗塞になってしまうことがあります。すぐに医療機関を受診ください。
Q.
どうなったら診断されるの?
A.
日本のガイドラインでは、画像診断や血管造影などで診断することが推奨されています。
・画像診断:初診時にはCTまたはMRIを用います。初期の虚血性変化に対しては、日本ではMRIが推奨されています。
・血管造影:MR血管造影、CT血管造影、頸動脈超音波検査などがあります。
・心臓評価:心電図と心エコー検査で心臓に塞栓源がないかどうか検出します。
・血液検査:危険因子、凝固異常、代謝状態などを評価します。
※くも膜下出血を疑う場合、最初に動脈瘤が検出されなければ、繰り返し画像診断を行うことが勧められます。
Q.
どんな治療があるの?
A.
治療は急性期と慢性期で異なります。
①急性期治療
・脳梗塞
a.血栓溶解療法:発症早期に用いられます。
b.大血管閉塞に対する機械的血栓除去術:発症早期に用いられます。
c.エダラボン:神経を保護するために用いられています。
・脳出血
a.血圧管理:180mmHg未満が推奨されます。
b.血腫除去術:必要に応じて行われます。
c.抗凝固薬再開:投与している場合は再開を検討します。
・くも膜下出血
a.外科手術、血管内治療:早期の動脈瘤修復のために行われます。
b.トリプルH療法(高ボレミア、高血圧、血液希釈)
②二次予防
・抗血小板薬:アテローム血栓性脳梗塞にはアスピリンまたはクロピドグレルがよく使用されます。また、ラクナ脳梗塞にはシロスタゾールがよく使用されます。
・抗凝固薬:心原性脳梗塞には直接経口抗凝固薬(DOAC)が使用されます。
・生活習慣の改善:高血圧、糖尿病、脂質異常症のコントロールが重視されます。
③リハビリテーション
急性期であっても早期のリハビリテーションが優先されます。ガイドラインでは以下のことを推奨しています。
・早期のリハビリ開始
・嚥下(のみこみ)障害の評価
・個別のリハビリ計画
・肺炎などの合併症のモニタリング