睡眠時無呼吸症候群
どんな病気?
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、睡眠中に呼吸が止まったり再開したりを繰り返す病気です。そのせいで睡眠の質が乱れ、からだに運ばれる酸素が減るため、日中の眠気による事故や心臓病など、深刻なトラブルの原因となる可能性があります。
日本のガイドラインはSASを下のように分類しています。
- 閉塞性睡眠時無呼吸:最も一般的で、気道が潰れたり塞がったりすることで起こります。
- 中枢性睡眠時無呼吸:脳が呼吸筋に信号を送れないことで起こります。
- 複雑型睡眠時無呼吸症候群:閉塞性睡眠時無呼吸として発症しますが、持続陽圧呼吸療法(CPAP)治療中に中枢性無呼吸が出現します。
重症度は無呼吸低呼吸指数(AHI)を用いて評価します。
軽度 | 5~14回/時 |
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中等度 | 15~29回/時 |
重症 | 30回以上/時 |
どんな症状が出る?
- 大きないびき(しばしば他人に気づかれる)
- 睡眠中に息が止まっている
- 睡眠中のあえぎ
- 日中に起きていられないような眠気
- 起床時の頭痛
- 集中力の低下
- 気分の変化(イライラ、抑うつ)
- 頻繁に目覚める
- たくさん寝ても熟睡感がない
- 起床時の口の渇きやのどの痛み
- 性機能障害
※女性や高齢者では症状が出にくいことがあります
どうなったら診断されるの?
日本のガイドラインは、睡眠ポリグラフ検査(PSG)による診断をすすめています。在宅睡眠時無呼吸検査(HSAT)はスクリーニングに使用することができます。また、Epworth Sleepiness Scale (ESS)は日中の眠気を評価するのに用いることがあります。
どんな治療があるの?
病気のタイプによって異なります。
① 閉塞性睡眠時無呼吸
生活習慣の改善
減量、禁酒、鎮静剤の回避、睡眠姿勢の調整などが効果的です。
持続陽圧呼吸療法(CPAP)
最も効果的なSASの主要治療法です。小さな機械に接続されたマスクを装着していただき、このマスクから鼻(または鼻と口)にゆっくりと空気が吹き込こまれます。これにより一晩中正常な呼吸ができるようにします。最初は違和感がありますが、ほとんどの方は数週間で慣れると報告されています。
口腔内装置
下顎を前方に突き出すように設計されたマウスピースです。
手術
解剖学的閉塞(扁桃肥大など)が顕著な場合に考慮されます。
② 中枢性または複雑性睡眠時無呼吸
夜間人工呼吸器管理
人工呼吸器の接続されたマスクを装着いただき、一晩中正常な呼吸ができるようにします。
また、心不全などの根本的な原因の治療も重要です。SASは高血圧、心臓病、糖尿病、脳卒中のリスクの増加、眠気による交通事故の発生率の増加などと関連しているからです。